元・育休パパが子育て支援とか考えつつ日々を記すblog

児童福祉施設の相談員として子育て支援・家庭支援に携わるようになったものの、第一子誕生を機に、自分自身の子育て・家庭が疎かになることへの危機感を抱き、子育てしつつ足元を見つめ直す必要を感じ、一年間+αの育児休業を取得 ⇒ 周囲の多大なる協力もあり、無事に育児休業を終えて職場復帰 ⇒ 3年後の第二子誕生時にも2か月の育休 ⇒ 時短勤務継続中。そんな人が第一子育児休業開始時から書き始めて、その後も不定期だったりまとめて書いたりしながらボチボチ続けているブログです。

子育てにおける「質」と「量」

 

一時保護所に国が統一基準を設けるという報道から、子育てや子育て支援における「質」と「量」について思うことを、先月少し書いてみた

childcare-support.hatenablog.jp

 

 

冒頭の記事に書いたように

子育てのあり方に高い「質」を求める以前に、子育てに人手が足りているかという「量」に目を向ける必要がある、と思う。

「質」を上げるより前に、「量」を上げることにまず、手を付けてほしい。

と自分は考えている。

 

そのことについて、もう少しだけ話を深めてみる。

児童相談所の人員は、この5年くらいで倍増する計画があり順調に増員中らしいが、それでようやく、「児童福祉司」という児童相談所における中心的役割の人々(イメージとしては警察における警察官にあたるような人)が、6,850名になる。

これは、日本の人口比で言うと約2~3万人に1人の計算。

 

ちなみに警察官は、約25万人。人口比で言うと約500人に一人。

 

そりゃ大人と子どもでは人口も違うだろうけど、二桁も違っていいものなのかな・・?と率直に疑問に思う。

 

ちなみに、単純な海外比較には慎重になったほうがいいとはいえ、先進国内でも「児童福祉司」と似たような役割の人たちは、人口比でもう一桁ないし二桁くらい多くいる。

 

 

 

あと、良く知られるようになってきたが、働く親たちの強い味方、保育士さんたちの人員も超・少ない。給与も、以前よりは上がってきたが、まだ全産業平均より少ない現状がある。

 

日本の保育所では2023年度現在、保育士1人に対して、0歳児は3人、1~2歳児は6人、3歳児は20人、4~5歳児は30人というのが国としての最低配置基準となっている(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条)。

 

なお、この基準は、「異次元の少子化対策」の一環として、2024年度から76年ぶりに見直される。

具体的は、4~5歳児の基準は保育士1人に対して30人から25人へ、3歳児の基準も20人から15人へ、見直される予定。

 

基準が制定された1948(昭和23)年当初と比較して、3歳未満の児童への配置基準は改善されてきたものの、3歳以上の児童に対する配置基準はほとんど変化がなかったことを考えると、画期的なようにも思える。

 

 

・・・ただ、子育て経験があったりすれば容易に想像がつくのだが、一度に0歳児を3人まとめて保育するのも、4~5歳児を25人まとめて保育するのも、この世の仕事の中で最も困難ではないかと思えるくらいの無理ゲーだと思う。

 

 

プロだからできるっていう代物でもないと思う。

 

 

基本的に、人間には手が二本しかない。目も二つしかない。脳みそは一つしかない。

 

 

どうあがいても、3人まとめて抱っこすることはできないし、25人のランダムに動く子どもを二つの目で危険がないように追い続けることもできない。

 

そんなどうしようもない無理ゲーの中で、全ての保育現場で、なんとかチームプレイで乗り切っていたり、保育士さんの健康やら子どもの安全やら何かしらを犠牲にしながら過ごしているのが現状。

 

本当に、頭が下がる。

 

ちなみに、経済協力開発機構OECD)に参加する他国の基準ではそもそも、20人を超える3歳以上の子どもを、1人の保育者がアシスタントなしに担当することは想定されておらず、日本の配置基準はOECD参加国中で最多だったりする。

 

 

・・・日本の子育ての現実は、まだまだ「異次元」なように思える。

 

いちおう政府も、シルバー民主主義と揶揄されたり、先進国最悪とも言われるくらいの厳しい財政状況があったりながらも、2023年末にようやく、少子化対策として総額3.6兆円規模の「こども未来戦略」をとりまとめている。

 

さらにお金を投下する計画もあるようだが、少子化の波が止まらない現実に、どれほどのお金の「量」を投下したら変化が生じるのか。それまで日本がもつのか。

 

のっぴきならない問題であることには変わりない。

 

 

・・・・“It takes a village to raise a child”というアフリカのことわざを去年教えてもらった。

 

直訳すると「子ども1人を育てるには1つの村が必要」みたいな意味になる。

 

人間が成長していくためには、村など社会全体からの、多様な人の知恵・愛情・力などが必要ということで、地域ぐるみの子育て、社会全体での子育て、を指す言葉として、世界中で引用されている。

 

このことわざを思い出すたび、子育ての「質」以上に、ある程度の「量」としての人出が子育てに必要だと感じさせられる。

 

 

さぁ、日本はどうなるか。