厚生労働省が2月28日に公表した人口動態統計(速報値)によると、
2022年の出生数が、ついに80万人を割りこんだ(79万9,728人)。
2016(平成28)年に、1899(明治32)年の統計開始以来、
出生数が初めて100万人を割ったこと(97万6,978 人)が大いに報道された。
・・・それから5年足らずで、さらに出生数が20%減という異常事態。
もちろん、統計開始以来初めて80万人を割ることになる。
もう少し前に、出生数が80万人を割り込む見通しがあったため、
今年初めに、岸田首相は、「異次元」の少子化対策を行う、
「子ども関連予算の将来的な倍増」を行う、との発言注目されつつ、
具体的な内容・予算はいまだ示されず、私自身、
票集め発言だけで終わってほしくない思いばかりが募っていた。
childcare-support.hatenablog.jp
なお、首相は「子ども関連予算の将来的な倍増」を掲げているが、
倍増する予算の基準を示してこなかった。
そんな中で、木原官房副長官が2/21にテレビ番組で行った以下の発言に、
与野党からの反発があがった。
木原官房副長官:
「子ども予算というのは、子どもが増えればそれに応じて予算が増えていくということになります。従って今、出生率が下がっている。これがもしV字回復をして出生率が本当に上がってくれば、割と早いタイミングで倍増が実現される」
岸田文雄総理大臣:
「ご指摘のテレビ番組における木原副長官の発言ですが、子どもが増えれば予算は倍増するとは申し上げていないと認識しています。倍増の期限を問われた際に、子どもが増えればそれに応じて予算が増える面もあるという社会保障予算の特性を紹介したうえで、出生率のトレンドによって倍増が実現する、タイミングが変わり得るということを紹介し、それゆえに効果的な予算の中身を考えることが重要である。こういった趣旨の発言であったと認識しています」
と話す。
最近?の報道は、前後の文脈なく、キャッチーな言葉を切り取って報道するきらいがあるので、また切り取ってるんだろうなぁとは思いつつ。
なんというか、言った言っていないの水掛け論というか、
○○の発言ってこういうことじゃないの?いや、そういうことではなくて・・
みたいな、なんとも政治家っぽい応酬がなされて、時間が浪費される。
発言の是非はさておき、実際に政府は、
いつまでに、何を基準に倍増なのか、というのは示してこなかったので、
どうしてもヤキモキしてしまう。
・・・「倍増」という言葉を使った以上、
それらを具体的に示しにくいという事情もあると思う。
それらに達している達していないということは
野党からの追及の格好の種になるだろうしね。
そして実際に組まれるのは、
現実的に達成可能なところからの「倍増」となるのだと思う。
ただ、イチ国民として知りたいこと、期待することとして感じるのは、
現実的・具体的にできるか基準は何かということではなく、
もちろん、結果論として子育て予算が倍増されるのでもなく、
日本という国が、未来にしっかり投資するんだ!!というスタンスと
その裏付けとなる計画だと思う。
短期的には、子どもにお金をかけるほど、国としての支出が増えることになる。
ある意味で、それで子どもが増えれば増えるほど、国としての支出は増えるわけなので、思い切って言いにくいこともよくわかる。
ただそれで長期的にみて国力が低下してもいけないというのも自明なこと。
具体的な試算も、政府内ではなされているはずである。
それがなぜ言えないのか?というのが、
これまでひたすら子どもにお金をかけてこなかった日本政府への不信感と
あいまって、キリトリ発言であろうと反発されてしまう。
・・かなり具体的かつ実行可能そうな予算を組んで内閣に提言している研究者もいる。
たとえば、京都大学の柴田悠(しばたはるか)准教授は、
2/20の「こども政策の強化に関する関係府省会議」(第3回)において、
「2025 年」までに「追加 6.1 兆円(少子化対策関係予算 6.1 兆円の倍増)による即時策」を提言している。
具体的にふみこんで、現実的な計画だと感じるし、
政府の中で賢い人たちが実際に試算して検討しているのだと思う。
そんな検討段階で、大々的には言えないというのもあると思う。
ただそろそろ、子どもや子育てにしっかり投資する、という段階・プロセスに
きているのだというムードを、より感じたいものである。