この1週間ほど、どうしても放っておけないニュースが世間をにぎわせている。
園児への暴行容疑で30代の保育士3人が逮捕された。
保育士たちがとった虐待行動が、しつけのつもりだと言えてしまう状況。
それらの行動が容認・放置されてしまう集団力動。
それでもお別れが嫌だという園児たちの気持ち。
想像するほど、気持ちが揺さぶられる。
元保育士たちが行った行為は、絶対にいけないこと。
ただ、その元保育士や保育園を断罪して終わる問題でも、絶対にない。
自分自身も児童福祉施設に勤めていて、
給与に見合わない忙しさと人手不足により、
ぎりぎりの状態でケアを行う保育士さんをよく見てきた。
構造的に問題があるのは、火を見るより明らかである。
特に配置基準が低すぎる問題は、すでにあちこちで議論になっている。
積み重なった疲労や余裕のなさは、人から冷静な判断力を奪う。
すると、おかしなことをおかしいと気づけなくなる。言えなくなる。
これは、家庭内でも十分に生じうること。
だから、ワンオペ育児が当たり前になってはいけないし、
子育て支援・家庭支援の拡充は、今後の日本に絶対に必要。
あと、そういった余裕のなさに加えて、
複数人の大人がいる保育園では、社会心理学でいうところの
【傍観者効果】も生じていたと思う。
(参考:傍観者効果 - Wikipedia)
・・・学校でのいじめにも、傍観者効果が生じるとされる。
おかしなことをおかしいと言えることはとても大事だが、
いじめの告発をイメージするとわかるように、
それにはとても勇気がいることでもある。
おかしいことはおかしい、いけないことをいけないと
直接言えるような関係や、言い方の工夫。
言っても関係が壊れないと感じられるような土壌・雰囲気・風土。
言われる側の受け入れる余裕の醸成。
傍観者効果の防止は
多層的に取り組む必要があるし、
それらは一朝一夕では培われない。
ちなみに、フィンランドで行われているいじめ対策プログラム『Kiva』は、
傍観者への働けを重点的にしたプログラムで、有効性が認められている。
参考:フィンランドの教育改革・中 いじめを「傍観」させない(読売新聞オンライン)
さらにいえば、これらは最初から出来て当たり前ではない。
こういった知識のアップデートや第三者の介入など、
風通しのよさのようなものも必要かもしれない。
何より継続的な教育の機会が必要だが、保育士さんは忙しすぎて
学ぶ時間や体力もなかなか確保しにくい。
・・・親でも保育士でも、国の将来を担う子どもを育てる人たちが、
誇りと自信、専門性、そして余裕を持てるように。
そのために自分に何ができるか、さらに考えを深めていきたいと思う。